『アニメで知る中国ウィークリーニュース』4月第四週版〜3兆円を超える中国のゲーム市場、その裏側

『アニメで知る中国』へようこそ!ナビゲーターのミミム(北京MYC)です。最近何かと注目されている中国動漫(ACG)と呼ばれる、中国のアニメ・ゲーム市場では、沢山のニュースが中国のインターネットを飛び交っています。とにかく数が多いので、現地でも全てを追い切れないのが現状です。

この度、北京MYCが企画する「アニメで知る中国」シリーズ、『アニメで知る中国 ウィークリーニュース』では、皆さんに毎週起きたアニメ・ゲーム関連のニュースをご紹介していきます。

『アニメで知る中国ウィークリーニュース』4月第四週版

4月15日、中国国営テレビCCTVが中国の動画共有サイトbilibiliを危険なサイトであると名指しで報道し波紋を呼ぶ。13歳の娘を持つ母親の話では、娘が保存していたbilibiliのリンクから早期恋愛や同居などの内容の動画が見つかり、子供に悪影響を与えているとのこと。

4月15日、Mojang(スウェーデン)が開発する世界中で大ヒットのゲーム「マインクラフト」が、暴力的で性的であると、上海市の政府機関は中国の代理運営会社NetEase Gamesに事情聴取したことがわかった。現在上海市文化市場行政執法総隊は立案調査を行っているという。

4月18日、中国最大手のテンセント(腾讯)が任天堂株式会社・ニンテンドー スイッチを代理販売することが報道された。広東省文化旅游庁が発布している2019年第一季広東省遊戯遊芸設備内容審査通過機械目録にて、テンセント深セン有限公司がニンテンドー スイッチの本体と、「スーパーマリオブラザーズ U デラックス」を含む各種ゲームを代理で販売することが記されている。またテンセントが自社の営業範囲に「遊戯遊芸設備の販売」を追加したとのこと。

4月18日、4月10日に行われた国家新聞出版総署の全国出版社によるゲーム出版会議にて、以下のような内容が討論されたことが発表となった。現在の国産ゲーム市場は年間2,000億元、全国市場の1/3を占め、関連企業は6,000社、内200社が上場企業で、中国の若い世代にとって生活の一部となっている。よって国家が厳しく取り締まらないといけない点として、以下が明示された。

  1. 全国ネットゲーム道徳委員会の設立
  2. 出版番号の配布規制
  3. 消費金額に対するコントロール制度
  4. ミニアプリゲームへの規制強化
  5. 出版会社の自主規制強化

具体的には、

  1. ゲーム名とゲーム内容は一致しなければならない
  2. 血だまり、緑血などの液体は一切禁止、死体もNG
  3. 現在申請中のゲームは申請材料の再度提出
  4. 宮廷闘争、官僚闘争を内容とすることはNG

4月19日、株式会社アニプレックスの新会社「安尼普(上海)文化艺术有限公司」が設立。主な事業内容 中国にてライセンス営業、商品化、IP開発等のアニメーションビジネスを展開。出資比率は、51:49(アニプレックス:ソニー・チャイナ)

4月19日、ネット映画、ネットドラマ審査強化につき、審査通過率は現在約23%を下回っている。これは、審査部門の調整と、審査申請回数の上限が決まったからと言われている。

多くの制作者は、「市場に負けたのではなく、制度に負かされたのは非常に悔しい」「数年かけて得た成功経験が全て無意味になった、今後どうすればいいのか分からない。」などと語った。また、一部の制作者いわく「みな制度の変化にもっと敏感になるべきだ。影響を受けない会社も少なくない」という意見も見られた。4月25日に制度が公示となるので、具体的な対応はその後になると予想される。

新審査制度についてミミムはこう考える

中国ゲーム市場が、いよいよ年間2,000億元(おおよそ約3兆円)と発展した訳ですが、中国のゲームの新審査制度がいつ出るのか?これは大変大きな問題で、中国のみならず、日本を含む諸外国にも影響が出ています。この新審査制度がいつ出るのかは正直誰にも分かりませんが、実は検討されているニュース内のコンテンツや制度については、特に目新しいものではなく、宮廷闘争や官僚闘争がNG、という件も最近ドラマで規制が入った為で、ドラマがそのままゲーム化することも多いので、それに影響されたのではないかと考えます。

ただ、ゲーム審査の材料を再度提出しなければならない点や、ガチャに関しても新しい制度が導入されるという噂もあり、これが施行されると、bilibiliが代行運営する「Fate/Grand Order」などの人気ゲームにも大きな影響を与えかねないと思います。

今週のニュースを見ると中国は本当にスピードが速いです。1〜2年でゲームなどのコンテンツを取り巻く環境が劇的に変わってきています。来週もどんな出来事が起こるのか、目が離せません。引き続きウォッチしていきます。良ければ、YouTubeチャンネルの登録をお願いします。

記事:ナビゲーター ミミム(北京MYC)

北京動卡動優文化傳媒有限公司有限会社(北京MYC)とは

2010年に設立されたアニメ・ゲーム専門の広告代理店の北京動卡動優文化傳媒有限公司有限会社(北京MYC)。中国のアニメ市場の消費力データを有し、アニメ・コミック・ゲーム(ACG)の分野で、中国市場を狙う企画から販売促進まで一連のサービスをワンストップで提供。2016年に日本支社(株)MYC Japanも設立。