『アニメで知る中国』第30回「決算報告から見るビリビリ2020」

『アニメで知る中国』へようこそ!ミミム(北京MYC)です。

先日、ソニーアメリカ法人がビリビリに対して4億ドルに相当するNasdaq上場株の5%を取得することが発表されました。

うおー、中国のビリビリすげー!中国は嫌いだけど、ビリビリは好感持てるぜ!って人も数多いく居るのではないでしょうか。本日は、2020年3月18日に発表されたビリビリの決算報告書を通して、ビリビリとは何かを見ていきたいと思います。本日ナビゲーターミミムがお送りするのは、アニメで知る中国第30回「決算報告から見るビリビリ2020」です。

『アニメで知る中国』第30回「決算報告から見るビリビリ2020」

ビリビリは全米証券業協会(NASD)の主催で開設されたアメリカ合衆国にある世界最大の新興企業(ベンチャー)向け株式市場Nasdaqに2018年3月28日に上場していますので、IR、決算報告を毎年出しています。中国の動画共有サイト「bilibili(哔哩哔哩)」がNasdaq上場した2018年3月当時の時価総額は31億3000万ドル(約3344億円)で、2017年の売上高は3億7940万ドル(約403億円)でした。

では、Bilibiliが出している決算報告書のまとめイラストを見てみましょう。

Bilibiliが出している決算報告書【201904】

一番上を見ると、左側に准考証というのが見え、そして右側に円筒状の物をもったビリビリ顔のキャラがいます。これはどうやら大学卒業、を意味しているように見えますね。今回の2019年を終えて、大学卒業して一皮むけた、という意味でしょうか。

2019年全体の売上高は67.8億元、同期比64%増加、Q4は20億元で74%増加です。

すぐ下にMAUが1.3億人、Q4有料会員880万人で同期比100%という項目が並びますが、これはビリビリが会員数の増加を標榜としているためでしょう。下を見ると、Q4売上げが20億の関門を突破し、連続7季予測を超えた大健闘、としています。

どんどん見ていきましょう。Q4のゲーム、非ゲーム収益について書かれています。

ゲーム売上げが8.7億元、非ゲーム売上げが11.4億元と非ゲームの売上がQ4ではゲーム売上げを上回っています。なぜこの図を表したのか?それは後で説明しましょう。スクロールすると、それぞれの売上状況がわかります。

上から、ゲーム、生放送、広告、Eコマースとなっています。そして粗利率が連続3季サイクルで19.8%増加していると記載されています。

次がユーザー数が歴史的高水準、コミュニティーは繁栄を続ける、というテーマでマンスリーアクティブユーザー数(MAU)が1.3億、モバイルMAUが1.16億、デイリーアクティブユーザー数(DAU)が3800万人と同期比40%ずつ増加している、と書かれています。

2019年のQ3を見るとMAUが1.28億、モバイルMAUが1.14億、DAUが3760万なので、2019年をみれば、それなりに増加していると思います。わざわざMAU全体とモバイルMAUを分けているわけですけど、MAUが2億人というわけではありませんので要注意です。

次の部分では、月投稿作品量、月アクティブ配信者数、万単位のフォロワーを持つ配信者数について書かれています。

具体数がないので、2019年Q3と比べてもなんとも言えないのですが、順調に増加している、という事でしょうか。

次は映像の再生数ですね。

日平均再生数は7.1億、月インタラクティブ数は24億、となっていますが、インタラクティブって何を指しているのでしょうかね。

その下は日平均使用時間で77分間だそうです。

次の部分ですが「テストを通過して正式会員」になった人の数ですね。こちら6,800万人で同期比50%増、12カ月キープ率が80%となっています。

2019年Q3は6,200万人同期比46%増となっていますが、上の方の2019年Q3、Q4のMAUが200万人しか差がないので、もしキープ率80%をうのみにするなら、これは1年累計じゃないかと疑っています。

その下に、Professional User Generated Video、という中国独特の…、いやビリビリ独特の専門用語が出てきます。何だこりゃ、ということで、関連記事を見てみましょう。

2018年の記事に、「ビリビリ米IPO申請、IPOのキーワードはPUGVと総合コミュニティー」というのがあり、その中でPUGVについて記載されています。

Professional User Generated Video、PUGVは専門的な企画による高品質なユーザー自主制作ビデオの事である。なるほど?所謂「後方彼氏が沢山いるビデオ」ってことでしょうか?企業所属Vtuberなどがこれに入るかもしれませんね。

オチがない…こういう、「元々あったものを新しい造語にして売り出す」とか「ないんだけどあるように見せる」というのを中国語で「餅を描く」といいますが、ビリビリさん、IPOでそんなことを言ったのか?

ちなみに、ビリビリ社長、陳社長はこの言葉を誇りに思い、良く引用すると、別の記事で書いてありました。

で、そのようなPUGVがビリビリの91%を占める!という事です。

すごいですね~!本当にすごいのか?

で、下はビリビリのイベント画像が続き、そしてコロナにおける社会貢献として1000万元寄付しましたよ、とかCCTVとコロナ報道でコラボしました、そして学校授業のオンライン化に貢献しましたよ、という事で締めくくられています。興味ある方は概要欄を参照ヨロです!

ということで、いつもながらビリビリすげー、という感じですが…

この決算報告、中国語で発表されているのはこちらのイラスト版だけです。日本の決算報告書は会社の1年間の事業の概況、経営成績(損益)や年度末の財政状態(資産、負債、純資産の残高)を記載したもの、と定義しています。

あれ、さっきの決算報告、売上は記載されてたけど、損益はどうなってるんだ?と気づいた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

では英語でのみ発表されているIRを見てみましょう。

実はビリビリにはすごい秘密が隠されていることがわかります。リンクを概要欄に貼っておきましたので、お時間がある時にごらんくださいこちら、8ページに記載されいているKey Information、主要財務データの部分なのですが、2019年のNet lossは表記されている数字は1,000単位省略されていますので、括弧閉じ13億元、括弧閉じ18万ドルとなっています。

日本円だと194億前後で、括弧閉じという事は、マイナスだという事です。

2019年ビリビリは194億円赤字!

しかも、2018年の5.6億元に比べ比べると、2倍も赤字が増えいます。

2019年10~12月期の売上高は20億約300億円と前年同期比74%増加したものの、純損失は3億8,700万元(約59億円)と赤字額が前年同期の2倍余りに拡大しています。

次にこちらのキーコンポネンツを見てみましょう。2017年12月31日、2018年12月31日、2019年12月31日に終了した各年度において、ビリビリ純収益の83%、71%、53%をモバイルゲーム収益が占めています。モバイルゲームの収益自身は減っておらず、増かしつつも、他の業務の売上が上がっています。

英語版のIRで分かったのは

  1. 2019年は18年に比べて赤字が2~2.5倍増
  2. モバイルゲームの売上金額は増加も売り上げ全体の%が減少している。
    でした

まとめ

では、まとめていきましょう

①ビリビリは映像プラットフォームだけど、ゲームに収益を依存していた

PUGVなんてのを2018年に打ち出していましたが、当時からビリビリの主な収入はゲームだったことがわかります。これは、おそらくFGOの力ではないかと思います。iOSの売上ランキングなどから推測した有志の方によると、ゲーム業務の売上の80%はFGOによるものだ、との話もありました。

②いまビリビリは収益構造の多角化戦略に取り組んでいる

先ほどお見せしたゲーム、非ゲームの収益分布率の図がありますが、これがおそらく多角経営に取り組んでいることを明確に表していると思います。2019年Q3のイラストでは腕相撲をしていますしね。

③その効果は大赤字ながらも、ビリビリのIRに現れている

そしてQ3では半々だったゲームと非ゲームの比率をついにQ4で非ゲームが追い越しました。大赤字ながらも、何とか収益コンポーネントのバランスを平均化させようと努力した結果ですかね。

推測ですが、動画プラットフォームの収益の80%をゲームに依存している、というのはあまり良くないと判断されたためでしょう。より多くの投資を得るためにも、多角経営、単一収益源から多収益源というリスクヘッジを行ったものだと思います。

じゃ、ビリビリってなんなのか?

それは「日本の力を最大限に使った中国の動画プラットフォームである」という事かと思います。

ソニーUSが株を買ったのはもしかしたらFGOの売上回収や他に何か思惑があるかもしれませんね!

さて、本日の動画ここまでです。

今日はあまり慣れないIR分析で疲れました。

なにかミミムに分析してほしい!説明してほしい!と言う物がありましたら、ぜひコメント残していってください。

では、動画100本目指して頑張ります~

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また見てくださいね!

北京動卡動優文化傳媒有限公司有限会社(北京MYC)とは

2010年に設立されたアニメ・ゲーム専門の広告代理店の北京動卡動優文化傳媒有限公司有限会社(北京MYC)。中国のアニメ市場の消費力データを有し、アニメ・コミック・ゲーム(ACG)の分野で、中国市場を狙う企画から販売促進まで一連のサービスをワンストップで提供。2016年に日本支社(株)MYC Japanも設立。