皆さんこんにちは、アニメで知る中国にようこそ、
ナビゲーターのミミムです。
先日Twitterで次の動画のアンケートを取った結果、FGOがBilibili動画を支えている、話に多くの票が集まりましたので、こちらを皆さんに紹介したいと思います!
目次
【徹底分析】「BilibiliはFGOで生き残った?」これまでを振り返ってみた
結論から言うと、BilibiliはFGOに支えられていました。
Bilibiliってなんだっけ?
Bilibiliついておさらいしてみましょう!
それにはBilibili設立のきっかけであり、中国最大手のライブストリーミングプラットフォームでNASDAQにも上場している闘魚の生みの親であるAcFunを知らないといけません。
2007年6月6日、ハンドルネームxilin(西林)という大学生がAnime Comic Funの略称、AcFunという名前の弾幕動画サイトを立ち上げます。日本でほとんど知名度がありませんが、中国のACG文化においてAcFunは非常に重要な存在です。
2009年6月にAcFunで大規模なサーバー障害が発生した際、AcFunの会員で、北京郵電大学の学生だった⑨bishi(9碧詩)がMikuFansというサイトを開設。
「AcFunの裏庭」と呼ばれたこのサイトは、徐々にAcFunからファンが移住し、2010年1月に、アニメ「とある科学の超電磁砲」の登場人物「御坂美琴」のあだ名であるBilibiliを取って、MikuFansからBilibiliへと名前を変更しました。これがBilibiliの由来です。
Bilibiliと『Fate』の縁
2012年Fate/Zeroが中国で初めて日中同時オンライン配信されたアニメとしてBilibiliに登場しますが、配信は途中で終了してしまいます。その後中国のNetflixと呼ばれる愛奇芸や今は亡きLeTV(楽視)などが配信を引き継ぎました。
BilibiliがFate/Zeroの配信を終了した理由は「互联网视听节目服务管理规定」、「インターネット番組サービス管理規定」における「信息网络传播视听节目许可证」、「インターネット配信番組許可証」を所持していなかったからだと言われます。なので、BilibiliはFateとは浅からぬ縁があるということですね。
収益構造からみるFateとBilibiliの関係
では本題に入ります。まずBilibiliの収益構造のグラフを見てみましょう。
緑の部分がゲーム、青が配信、黄色が広告、深い緑がその他です。Y軸は金額で億元、X軸は時間です。
グラフを見ると、2016年の収入は2015年に比べると約5倍、2017年の収入は2016年に比べるとさらに約8倍成長しています。グラフ上に表示されている数字はゲーム収入の人民元で、2017年のBilibiliの総収入は420億円(24.68億元)で、グラフの緑の部分は350億(20.58億元)となっており、計算すると実に83%がゲーム収入だということが分かります。
Bilibiliは2014年からゲーム配信を始めており、今まで『夢100』『FGO』『アズールレーン』『アークナイツ』『BanG Dream!』や『崩壊3』などを配信しています。
日本と違って、中国ではゲームを配信するのに、ゲーム運営許可証と検閲が必要なので、ゲーム会社が直接ゲームをリリース運営するのはハードルが高く、Bilibiliなどの配信会社が替わりに配信を行う形になっています。
Bilibiliは2016年からFGO等をリリースし、ゲーム収益に依存していることが分かりましたが、本当にFGOが支えているのでしょうか?
簡単な表を作ってみました。
総収入から上がBilibiliの各事業の収入、総収入から下にFGOのゲーム事業における収入の比率を記載しています。例えば2017年、FGOの収入はBilibiliのゲーム収入全体の25%を占めていることを示しています。この表からFGOは2017年から2019年まで、Bilibiliの収入に大きく寄与していることが分かります。
また、BilibiliのIRサイトに掲載されている2018年のAnnual Report、年次報告書の79ページに以下のような文言があります。
On an overall basis, 13.6% of the increase in net revenues from mobile games is attributable to the new mobile games launched during 2018 while the remaining 86.4% is attributable to the existing mobile games that were launched prior to 2018.
モバイルゲームの純収入の増加の13.6%は、2018年中に発売された新しいモバイルゲームに起因し、残りの86.4%は、2018年より前に発売された既存のモバイルゲームに起因します。
簡単にいうと、2018年より前にリリースされたゲーム、いわゆるFGOやアズールレーンが依然収益の86.4%を占めているということです。FGOがどれほど大きな存在かわかるかと思います。
改めてまとめると、FGOは2019年まではBilibiliの収入に大きく寄与していた、ということが分かると思います。
終わりに
Bilibiliは2018年NASDAQ上場して以来、その収益構造の歪さから、たびたび動画配信サイトではなく、ゲーム会社であると評価を受けてきました。これは「オンライン動画サービスサイト」として市場展開しているBilibiliとしては何とか是正しないといけない部分でした。
その思いはBilibiliの毎年出している決算報告書にも表れており、毎年どれだけゲーム依存から脱却しているか、円グラフで示しているほどです。
近年はBilibiliのFGO等のゲーム収入は40%に下がり、収益構造の改造をさらに進めていくとは思いますが、依然気になるのがその赤字の規模です。
また、中国国内の動画プラットフォーム最大手、愛奇芸に比べ会社規模が大きく引き離されています。
Bilibiliは中国ではアニメ分野においては第一人者かもしれませんが、動画プラットフォームとしてはけして大きくはありません。まだまだ改革を進めていかなければ、MikuFansからの本当の脱却はできないかもしれません。
本日のアニメで知る中国はここまでです。
ナビゲーターのミミムがお送りいたしました。またね!
参考資料
【十周年】曾经的Mikufans, 现在的bilibili:https://www.bilibili.com/read/cv2950844/
Fate系列正版手游来了 bilibili独家代理《Fate/Grand Order》https://ent.163.com/game/15/1120/16/B8SLIDJ800314R23.html
Bilibili investor home:https://ir.bilibili.com/investor-home/
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1594156346980056914&wfr=spider&for=pc
https://tieba.baidu.com/p/5506294009?red_tag=0729756550
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000066.000002734.html
https://news.mydrivers.com/1/210/210282.htm
https://www.bilibili.com/read/cv10067697/
北京動卡動優文化傳媒有限公司有限会社(北京MYC)とは
2010年に設立されたアニメ・ゲーム専門の広告代理店の北京動卡動優文化傳媒有限公司有限会社(北京MYC)。中国のアニメ市場の消費力データを有し、アニメ・コミック・ゲーム(ACG)の分野で、中国市場を狙う企画から販売促進まで一連のサービスをワンストップで提供。2016年に日本支社(株)MYC Japanも設立。