みなさんこんにちは、最近ゲームで知る中国になりつつあるアニメで知る中国にようこそ。ナビゲーターのミミムです。先日YouTubeで、ある動画を見て、非常に感銘を受けたので、これに関する補足動画を出したいなと思って早速作ってみました。
【中国】原神はレアケース!けど日本はもうやばい!?
その動画では、
110億円をかけて制作した原神に日本のゲーム業界が大混乱している
開発費が高すぎて日本でゲームが作れなくなる
今後原神クラスのお金を投資して作られるゲームがどんどん中国から日本に進出する
ということをお話されていました。
今回私の動画では補足として「原神クラスはレアケース」というお話をしたいと思います。
原神の開発・運営元MiHoYoの海外配信責任者、金氏が中国メディアのインタビューに対して、制作費1億ドル、約110億円をかけて原神を製作した、と語りました。
私が調べた感じ、これだけの制作費を掛けた中国のゲームは原神が初めてのようです。
私はこれを、MiHoYoが自社ブランドの確立の為に行った特殊なケースではないか、と予測しています。
なぜそう思ったのか。まず、他の中国ゲームの制作費について紹介しましょう。
他の中国ゲームの制作費について
ラングリッサーヒロイン集合イラスト
2020年現在のトップクラスのゲームは、3億5000万円(2000万元)掛けるといわれています。
3億5000万円を掛けている可能性があり、日本でもリリースされている中国ゲームとしては、【ラングリッサーモバイル】、【陰陽師】等があります。
ラングリッサーモバイルは2年半で48億円、陰陽師は2018年から今年までの4年前後で38億円売り上げています。売上としては悪くない気がします。そこでふと、アプリゲームも商売ですから、1本のゲームに110億円掛ける意味、いわゆる費用対効果ってどうなっているのか、と疑問に思ったのですね。
簡単に表を作ってみました。
元ネタとなった動画が日本の話だけをしてるので、私の動画でも日本市場のみを考えてみたいと思います。
売上対制作費の比率というのは、制作費に対してどれだけ売上を出せたか、という儲けを%で示しています。
ゲームA、B、原神とみて、Aは30カ月やって、制作費に対して1271%も儲けています。配信月数が長く、制作費が安いゲームAの方が制作費に対してコストパフォーマンスが高いことが分かります。逆に原神はゲームAよりコストパフォーマンスが低いように見えますよね。11カ月やって、日本市場では制作費の72%しか回収できていないわけです。
でも、原神だって、30カ月売り続ければ変わるんじゃないか、ということで月平均売上をベースに計算したのが一番右のセルです。こちらは日本市場だけになりますが、Aは1ヵ月で制作費の46%を、Bは55%を、そして原神は16%を回収できた、という意味です。
やはり、投資した金額に対してコストパフォーマンスが見合ってないように見えます。
もちろん、世界規模で見れば原神はもっと売上が上がっているのですが、今回は日本市場のみに注目しているのでこのような形になります。
この表から、中国ゲーム会社が日本市場を目標とした場合、110億円もの大金を掛けてゲームを作る、というのはあまり現実的ではないと思います。
中国のアプリゲームはリリースしてから6カ月以内に原価回収、儲けを出さないといけない、という原則で動いているといわれているので、ゲームAやBのようなコストパフォーマンスでないと、ビジネスとして成り立たないからです。
日本企業ももしかしたら、あのゲーム、そんなにお金かけておかしいんじゃない…?って思っているかもしれません。
逆にミミムは中国企業が10億のゲームを10個作るほうが脅威だと考えます。今の時代、ゲームビジネスは可処分所得ではなく、可処分時間を奪うのが主流なってきているからです。原神に及ばずとも10億円の制作費で制作された良質な中国ゲームが大量に日本に来たら、日本のゲーム会社はますます立ち向かえなくなるでしょう。まさに人海戦術です。
よって他の中国ゲーム会社がMiHoYoに追従して数百億のゲームを出してくることは、費用対効果的に意味がない、といえるでしょう。
なのでミミムは、原神はレアケースである、と考えています。
ではなぜMiHoYoは110億円も掛けたのでしょうか?それはやはりMiHoYoブランドの確立が目的ではないかと考えています。
崩壊学園シリーズなどで、長年日本でゲームをリリースしてきたMiHoYoですが、2017年アズールレーンを携えてYostarが日本に進出した以来、いろいろと厳しい状態が続いていたように思います。
また中国にはテンセント、ネットイースという超巨大会社いますし、独自の地位を築き上げることは至難の業です。
2020年7月段階ではYostarもMiHoYoも中国ゲーム企業の世界トップ30には入っていない。
そこに社運を賭けたゲームを出すことで世界規模のブランドイメージを確立し、Yostarと対等、或いはそれ以上の立ち位置を確保することに乗り出したのではないでしょうか。
2016年から今日まで運営している崩壊3rdの売上は100億前後だとGame-iのデータから推測できますので、崩壊3rdの売上を全部原神の開発につぎ込んだ、とも考えられます。
1億ドルの原神は、MiHoYoのこれら巨大ゲーム企業に対する反撃の狼煙、と理解するべきだとミミムは思います。
先日新エリアの登場によって多くの国のセルランで1位を取った原神。この奇跡のゲームによって確立したブランド力は売り上げの費用対効果以上の利益をMiHoYoにもたらしたのではないでしょうか。
「オタクが世界を救う」を標榜とするMiHoYoが見る先はプラチナゲームスやフロムソフトなのではないかと考えます。
最後に、原神がレアケースとはいえ、日本アプリゲームは非常にヤバイ状態といえます。この動画の元ネタとなった動画の方では2023年が黒船襲来の年だと予測していましたが、私は2017年のアズールレーンこそが黒船であり、すでに日本アプリゲームは令和維新が求められている状況にあると思いますが如何でしょうか?
ぜひコメントで皆さんの考えをおしえてくださいね!
アニメで知る中国、本日はここまでです。
またね!
北京動卡動優文化傳媒有限公司有限会社(北京MYC)とは
2010年に設立されたアニメ・ゲーム専門の広告代理店の北京動卡動優文化傳媒有限公司有限会社(北京MYC)。中国のアニメ市場の消費力データを有し、アニメ・コミック・ゲーム(ACG)の分野で、中国市場を狙う企画から販売促進まで一連のサービスをワンストップで提供。2016年に日本支社(株)MYC Japanも設立。