アニメ『DARLING in the FRANXX』が中国の大手サイトで配信停止に。見えてくる中国のサブカル事情

2018年2月3日の朝、インターネット検索最大手・百度(バイドゥ)傘下の動画サイト愛奇芸は、「不可抗力な事情により、既に版権を取得していた1月の新番組『DARLING in the FRANXX』を急遽配信停止とする。今後の見通しは立っていない。」と発表した。

このニュースを受け、個人ブロガーの崩壊3情報室さんは現状の中国のACG(日本のアニメ、コミック、ゲームなど2次元コンテンツの総称)業界で今何が起こっているのかを語った。

『DARLING in the FRANXX』が愛奇芸にて実際に配信されていないことが確認出来たので、このブログの内容を紹介する。

アニメ『DARLING in the FRANXX』が配信停止に。誰かがこの機に二次元を抹殺しようとしているのか?

その経緯をまとめると、『DARLING in the FRANXX』の中で、キャラクターがロボットを操作する姿勢がセクシャルだとして、一部揶揄された動画が投稿されフォロワーの間で不評を買い炎上。その後、最終的に国の関係部門へ通報されたようだ。

この事件に関しブログ上では、

私のチームは二次元の情報について雑談、ずっと個人的感情を入れないようにしてきた。しかし、どうみても明らかに純粋な悪意を感じるものがあり、それは「時計仕掛けのオレンジ」のアレックスのように、原始的で隠し立てのない悪であり、私に本能的な嫌気と憤慨をもたらした。

と前置きした上で以下のように語った。

単純に都合のいい部分だけ抜き取って引用したとしたら、それは曲解を招くことになる。例えば、誰もが知る『エヴァンゲリオン』にも同様に碇シンジと綾波レイのあるシーンがセクシャルなイメージを連想させるが、その1シーンだけで何かを判断できるだろうか?

このような嘲笑を目的に、単純に都合のいい部分だけ抜き取って引用したとしたら、それは作品について誤解を招くことになる。

主観的に嫌いだからと言って、その作品が客観的に否定されるべき、ということにはならないし、国家権力を利用して私怨を晴らすなどあってはならないことだ。

このような状況の中、知乎という中国の大手Q&Aサイト内で実際に通報をしたとされる当人のコメントを参照すると、その人物はこれまでに実名で50件以上、匿名で30件以上通報したという。

これについて反論する意見も。

その動画が嫌いでもいい。動画を個人的に否定するのは構わない。しかし、今回のような極端なやり方で、他のファンたちを妨害し、動画を鑑賞する権利を奪う資格は無い。

あなたのような人はこの動画を見るにふさわしくないと私は思う。また他のどんな文学作品や映像作品を観るのもふさわしくない。今回のようなやり方に驚愕する。

敵意を拡散して、言論を煽る、このようなやり方で己の観点を証明しようとするあからさまな悪意には、愕然とする。

通報というやり方で勝利して、恨みを抱く人もいるだろう。もしくはこれに触発され、復讐的に大規模な通報の連鎖が起こり、二次元界の大地震が引き起こされたらどうする?

一連の出来事を振り返りつつ、ブロガーは更にこう語った。

二次元文化は自然発生的に生まれ、マイノリティカルチャーとしてずっと存在してきた。十数年もの努力による発展を通して、まさに一歩一歩、世間に認められるようになったのだ。二次元のサブカルチャーは既にメインへの道を歩み始めていると考えている。その境界線はますます曖昧となり、寛容度は強くなるばかりだ。新旧オタクによる二次元界の線引きには衝突を生むこともあるが、私はこのサブカル界に身を置き、サブカルがより多くの人々の知るところとなり同意を得られることを嬉しく思っている。

代表する二次元企業が生まれ発展し、二次元に対する資本への興味もますます高まり、産業のボリュームが拡大して、動画はより正規のものを取り入れられ、まるで全てが美しく変わっているようだった。

もし私たちが、このような排除行為や互いに攻撃しあうことを覚え、ちょっとした不一致から通報を行う事が続く場合、クリエイティブ環境の悪化につながり、資本は撤退し、政府による取締りも実行されるだろう。

成長期にあったこの二次元が、そのように抹殺されてしまう。

近い将来、政府はスマホゲームに対して、広範囲の整理改革を始める。そして、メーカーは積極的に力を合わせて検査をする。市場の大部分のスマホゲームは自社での調整を行うようになる。そのような背景のもと、大なり小なりサブカル界は検査を受け整頓されると推測する。

私たちはこの文化のうねりを迎える時代にあって、みんなで連帯を強め、メインカルチャーが二次元に対して、誤解や偏見を持たないように努めなければならない。

中国で急拡大する日本のアニメ市場だが、このような事情について考えると、我々日本人が考えている以上に中国には保守的な層が存在しているということだ。中国のサブカル事情について引き続きウォッチしていきたいと思う。

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(C)ダーリン・イン・ザ・フランキス製作委員会