中国のデジタルコンテンツ市場はアツい!CFunクリエイターズイベントをレポート

2018年9月28日、二次元文化の世界発信に特化したSNSプラットフォーム『CFun』の開発をしているCFunジャパン株式会社が、DMMグループ本社のブースを借りてクリエイターズイベントを開催しました!

イベントには様々なジャンルで活躍するクリエイターさんたちが出席。今回は「中国市場」をテーマに、ユニークなビジネスが動いている隣国の最新情報や、クリエイターの未来について話し合いました!その様子をお伝えします。

ブロックチェーンと仮想通貨でクリエイターを支える『CFun』

CFunはDigital Media Groupの元CEO、Dennis Jia氏が共同設立者として誕生。シンガポールに本社を置き、中国、韓国、そして日本に拠点を置いています。CFun最大の特徴は、インターネット以来の発明とも言われる「ブロックチェーン」「仮想通貨」を活用しているという点にあります。

分散型記帳技術、つまりネットワークに関わる全てのユーザーで情報を共有し暗号化するため、情報の改ざんができません。これによって、クリエイターにとって致命的な著作権=誰がそれを書いたかの証明ができるようになります。

そこに暗号通貨が加わることで、仲介業者などを挟まず各契約を自動化し、クリエイターへの収入がすぐに支払われます。CFunでは日本作品の外国語翻訳にも対応しているので、中国やアジア、そして世界の市場に自分の作品を送り出すこともできます。

また、SNS内のユーザーの行動(シェアや悪質なユーザーの通報、日本作品の外国語翻訳など)に対して、クリエイターサイドがあらかじめ決めたコインの付与も可能。これにより、CFunの中でクリエイターと読者が独自の経済圏を作れるようになるのです。

CFunジャパン株式会社は2018年7月より、DMMオンラインサロン『CFun Creator’s Salon』を運営。日本のクリエイターとCFunのサービス周知・改善のための交流を続けています。

参加してくださったクリエイターさんたち

今回のCFunのクリエイターイベントには、アニメ・映像・漫画・イラストや教育という幅広いジャンルから、次の5名に参加いただきました!(五十音順)

大畑一樹さん(フリーランス)

フリーのシネマトグラファーとして活動。パーソナルトレーニングジムの最大手『ライザップ』や、大手ケータイキャリア『Softbank』のCM制作などに関わる。

高達 俊之 代表取締役(コウダテ株式会社 代表取締役)

昨年まで『ルパン三世』『それいけ!アンパンマン』『名探偵コナン』などアニメの制作会社にて勤めた後、独立し起業。アニメ・映像に関する企画や製作、コンサルティングを行う。

中込大介さん(学校法人専門学校東洋美術学校 副校長)

東洋美術学校の副校長として、また産学連携事務局、メディア編集部などに従事。CFun運営の補助なども担当している。

服部芳生さん(イラスト・漫画)

ホラー風味属性系異能モノ『作品至智詼諧-しちかいかい-』を連載。脚本・小説を担当する大柳蜜柑さんと2人で、創作サークル『アンチックプラント(AntiquePlant)』を運営。

ナカシマ723さん(まんが家)

日本語・英語同時連載というユニークな作品『勇者のクズ』を連載。自身がTwitterで上げた「壁ドン」イラストの無断転載に対する訴訟などでも注目された。

常に「娯楽」が枯渇している!近いけれど遠い国・中国

今回大きなテーマとなった「中国市場」。2018年4月にIMFが発表したデータによれば、その人口は13億9,698万人に。日本の10倍という規模はもちろん、独特の国家運営は日本と全く違う文化を形成しています。

人口ボリュームが生み出す、中国の圧倒的な「動漫」市場規模

出典:ジェトロ 日本貿易振興機構

約14億人という人口のうち、中国でマンガ・アニメ文化を愛する「オタク層」は、2億〜3億人にのぼるといいます。もうこの時点で、日本人の人口を超えちゃっているのです。国内のコンテンツ市場の規模は、2016年で約14兆円にまで成長しました。

中国ではマンガ・アニメ(動画)を一括りに「動漫」と表現し、主にデジタルで視聴することが一般的です。その視聴ユーザー数も、2016年8月には3800万人になりました。

かつての日本のように、動漫は子供の教育に良くないと敬遠されがちでした。しかし近年はコアなオタク層だけでなく一般層にも受け入れられるようになり、さらにユーザー増加に拍車をかけています。

莫大な需要に供給が追いつかない!

これだけの人口がいると、その消費スピードは凄まじいという特徴があります。例えば中国ではネット上の「インフルエンサー」の影響力が膨大で、とある企業ブランドを微博(weibo、中国版SNS)で発信したところ、その企業の3年間分の在庫がたったの3日でなくなってしまいました。

こうした爆発的な需要の増加は、動漫も同じ。未だかつて中国のコンテンツ市場が飽和状態になったことは一度もないのです。足りないコンテンツは海外、特に日本から輸入したり、最近では自国内のコンテンツを育てたりという活動が増え続けています。

中国市場のコンテンツ不足にある「お国柄」

これだけのインパクトがある中国は、とても魅力的に映るでしょう。それでも多くの企業・クリエイターは、中国進出を「とっつきやすい」と感じるかもしれません。

中国は独特の国家運営体制を敷いているため、その不利益になるコンテンツ・サービスが突如利用できなくなるということがあります。表現の自由は憲法で保障されているものの、いわゆる表現の規制について、明文化されたルールがないのです。

果てしなく大きなグレーゾーンと、突如現れるNGゾーン

中国の表現規制のありようをよく表している、1枚のイラストがあります。

2つの円は、日本と中国それぞれの表現に関する「OKゾーン(白)」「グレーゾーン」「NGゾーン(黒)」を表しています。こうして見ると、日本はガイドラインがある程度細かく定められているため、何がダメで何は良いか、その判断がつきやすいのがよくわかります。

しかし、中国には中心となるNGゾーンから先は、果てしなく広いグレーゾーンが広がっているのです。そしてところどころに点在するNGゾーンは、国内で定期的、あるいは不定期で発生する「強化月間」「強化週間」を背景に、突然現れては消えてを繰り返します。

こうした背景から、日本のサービス、ニコニコ動画とpixivは中国でも人気だったものの、現在では閲覧禁止となりました。「いつどうなるかわからない」という条件の中、うまく現地のコンテンツ環境に順応できるかが、中国市場を生き抜くコツでもあるわけです。

国内情勢とうまく付き合うコンテンツサプライヤーたち

しかし、中国でコンテンツを供給する人々は、この環境にうまく順応しています。その根底にある精神は、「とりあえず(世に)出してみよう」というもの。先ほどのイラストを見るとわかりますが、中国ではグレーゾーンこそ多いものの、表現上絶対に動かない「アウトライン」は、実は日本ほど大きくありません。

ある意味、中国の方が「ゆるい」領域が少なからず存在します。そこをうまく狙い、コンテンツサプライヤーは漫画やアニメを販売。仮に規制が厳しくなるようであれば、一度コンテンツを引き下げ、タイトルや表現方法を変えて再度アップします。

CFunの強いところは、現地の法人規制の動きをいち早くキャッチできるということです。SNSに作品を投稿するクリエイターに、リアルタイムな状況に基づいたアドバイスができます。

質疑応答では自由な意見を交換

最後の質疑応答では、参加したクリエイターから自由な意見が飛び交いました。そこではCFunからクリエイターへの支払いの方法、仮想通貨をどう活用してユーザーとクリエイターが交流するのかといった、質問が投げかけられました。

それ以外にも、縦スクロールが中心の中国コンテンツに対して、日本独自の漫画文化にどう対応するのかというユーザーインターフェースに関する疑問や、今後どのようにユーザーを拡大していくのかという戦略的な話題にも言及。1つ1つ現在の動向や今後の課題を確認する形で、今回のイベントは終了となりました。

ベールに包まれ、その実態が見えにくい中国のコンテンツ市場。そこには日本とは違う難しさがありながらも、大きなチャンスがたくさん詰まっています。もちろん、CFunが視野に入れているのは「世界」の市場です。

本イベントでは、中国国内で大ヒットを記録したあの日本アニメ映画の背景や、世界的ヒットをした子供向けコンテンツがネットから姿を消した裏話を紹介。それらはオンラインサロンにて、限定公開しています!

CFunジャパンは今後も、オンラインサロンを通じてイベントを行い、クリエイター目線でのサービス運営をするための意見を募り続けます。次回は11月、同じくDMM本社にて開催予定です。

※ 本記事はCFun日本チームによる寄稿記事となります。