『アニメで知る中国』第35回「コロナで爆増中国ゲーム市場と今後のクロスジャンル展開」

ナビゲーターのミミムです。本日のテーマは「コロナで爆増中国ゲーム市場と今後のクロスジャンル展開」です。トピックは2つです。

  1. 2020年中国ゲーム市場第一四半期斜め読み
  2. 中華二次元系ゲームのクロスジャンル展開

今日紹介するレポートは中国のゲーム関連データを収集している中国音像与数字出版協会所属の遊戯出版工作委員会が出しているモノです。原文をご覧になりたい方は概要欄のリンクから飛んでくださいね。

二次元ってのは、日本でいう「アニメキャラ」ですね。艦これやグラブル、FGOなどが中国人の中では二次元系ゲームにあたります。クロスジャンル展開とは何か、それは後半でお伝えしましょう。

 さ、さっそく斜め読みしていきましょう。

第35回「コロナで爆増中国ゲーム市場と今後のクロスジャンル展開」

総括

※ 全ての中国元は切りのいい日本円に換算しています。

2020年第一四半期、省略してQ1の中国ゲーム産業は爆発的な増加を記録しました。売上高は723億元(約1兆1000億円)で、2019年に比べて147億元(2200億円)、同期比25.2%増加しました。

中国ゲームユーザーは2019年では6.4億人で2018年より2.5%増加しましたが、2020年Q1では2019年の第四四半期、Q4に比べて200万人、0.31%増加しました。

中国オリジナルゲームの国内市場の売上高は2019年1895億元(2兆8600億円)で、同期比251億元(3800億円)、15.3%増加でしたが、2020年Q1では623.5億元(約9400億円)増加しており、2019年のQ4から29.68%の増加です。

海外市場

2020年Q1では中国製ゲームの海外市場の売上高分布ではアメリカ29.8%、日本23.3%、韓国14.4%となっていて、2019年前年とあまり比率は変わっていません。現在アメリカが中国ゲーム企業の海外展開において一番重要な市場となっています。

プレイヤー人口

2019年プレイユーザー数は6.4億人で、2018年に比べ2.5%の増加でした。2020年Q1では200万人増加し、同期比0.31%の成長になっています。

その中で女性ユーザー数を見てみましょう。

2019年、女性ユーザー数が2.9億人から3億人に増え、3.5%増えてます。

女性ユーザーの売上高は536.8億元(8100億円)と、7.4%増えていましたが、増加速度は遅く成長の鈍化が懸念されていました。

しかし2020年Q1ではなんと女性ユーザーによる課金額が192億元(2900億元)、同期比50%近い増加がみられました。女性ユーザー数も3億人から3.57億人に増えたようです。

2019年のレポートで女性プレイヤーによる産業売上げの比率が低い理由

  1. 女性プレイヤーは課金要素が少ないカジュアルゲームを遊ぶ傾向にある
  2. 女性プレイヤーは一つのゲームに固執しない
  3. 女性プレイヤーの要求に合致したゲームが少なく、開発スパンが伸びているため需要を満たせていない

という分析がなされていましたが、Q1にて女性プレイヤーの要求に合致したゲームが出たような話は聞かないので、まだまだ女性プレイヤー市場のポテンシャルは高いように思えます。

二次元系ゲーム

2019年の二次元系ゲームのプレイヤーはゲームユーザー全体の18%だといわれています。売上高は215.6億元(3200億円)で、12.9%の増加。19年の売上高の9.3%を占めていますが2020年Q1では76億元(1150億元)増え、同期比40%増でした。

二次元ゲームのプレイヤーは若く、低年齢であり、今後年齢増加と共に市場全体の売上が伸びることが予想されます。

まとめ

ということで、2020年中国ゲーム市場は2019年より成長したばかりでなく、おそらくコロナによる業界全体の爆発的な収益増になりました。

今回のポイントは2つあると思います。

  1. 女性ユーザーが緩やかに増加しており、女性向けゲームの登場が待たれている
  2. アニメ系ゲームのユーザーは若いので今後発展が期待できる

女性ユーザーとアニメ系ゲームユーザーの売上高は中国ゲーム市場全体の20%前後ですので、成長は期待できそうです。

クロスジャンル展開

本日2つ目のトピック「中華二次元系ゲームのクロスジャンル展開」見てみましょう

最初に紹介しましたが、二次元ってのは、日本でいう「アニメキャラ」ですね。艦これやグラブル、FGOなどが中国人の中では二次元系ゲームにあたります。

中華ゲームの二次元系といえば、アズレン、崩壊3rd、ガルフロ、ラングリッサーモバイルですね。

日本は中華ゲームの海外展開において、22%、約1/4を占める第二のマーケットです。

去年からアズールレーンを運営するYoostarは雀魂などもリリース、自身が持つIPのライフサイクルを伸ばすと同時に、Yoostarピクチャーズも立上げ、多方面への進出を図っていました。

ネットイースのゲーム「陰陽師」も同一IPですでに陰陽師、決戦平安京、陰陽師百聞牌、陰陽師妖怪屋と4作品出しており、5月20日の「我是熱愛分之一」というオンライン発表会では、

陰陽師のキャラクターがバーチャルキャラクターとして活動するという「Onmyoji Idol Project」がアナウンスされました。

結論から言うと、これがおそらく中華ゲームの今後数年、日本における次なる市場戦略になるでしょう。

同じIPで様々なジャンルのゲームを出す。それも1つや2つじゃなく。

これが題して「クロスジャンル展開」です

どういうことかというと、ガルフロの4つの新作を例に紹介しようと思います。

ガルフロの《追放》、《云図計画》、《逆向崩壊》、《譎境》、はそれぞれ3Dシューティング、3Dローグライク、ウォーシミュレーション、ミステリーRPGと違うジャンルを展開すると発表されました。

これがまさにクロスジャンル展開ですね。

強力なIPによる、クロスジャンル展開によって、何が起こるかというと、ファンの囲い込み、可処分時間のシェアの奪い合いになると思われます。

今まで以上に中国本土では二次元ゲームの市場シェア競争が激しくなることが予測されますし、この展開はおそらく遅かれ早かれ日本にも持ち込まれるでしょう。

日本でも同じような展開はありましたが、ここまで大規模なクロスジャンル展開はなかったと思います。

単発の作品ではなく、クロスメディア、クロスジャンル展開することで中華ゲームは日本でより存在感を増していくのではないでしょうか。

ぜひあなたのご意見、コメントで教えてください。

では、本日の動画ここまでです。

アニメで知る中国、ナビゲーターミミムがお送りしました。

またね!

チャンネル登録はこちらから

北京動卡動優文化傳媒有限公司有限会社(北京MYC)とは

2010年に設立されたアニメ・ゲーム専門の広告代理店の北京動卡動優文化傳媒有限公司有限会社(北京MYC)。中国のアニメ市場の消費力データを有し、アニメ・コミック・ゲーム(ACG)の分野で、中国市場を狙う企画から販売促進まで一連のサービスをワンストップで提供。2016年に日本支社(株)MYC Japanも設立。

参照リンク

中国音像与数字出版協会 遊戯出版工作委員会 http://www.cgigc.com.cn/
2019·年産業報告 http://www.cgigc.com.cn/gamedata/21649.html
国产二次元暴走:《少女前线》生出“四胞胎”,惊呆玩家同行 http://www.gamelook.com.cn/2020/05/386280
2020年Q1东南亚手游市场趋势:《Garena Free Fire》收入位居榜首 http://www.gamelook.com.cn/2020/05/386471
网易游戏520:每个你都是“热爱分之一” https://www.bilibili.com/read/cv6160201

動画版オミット内容:各配信プラットフォーム

2019年モバイル、PCクライアント、ブラウザゲームの収益は1581億(2兆4000億円)、615億(9300億円)、98.7億(1500億円)で、それぞれ68.5%、26.6%、4.3%だった。

ちなみにPCクライアントゲームの収益は前年比4.5億元減、ブラウザゲームは27.8億元減でそれぞれ0.7%、22%の減少

Eスポーツ市場は2018年の834億元から2019年は947億元(1兆4300億円)と、112.9億元(1700億円)、13.5%伸びた。