『アニメで知る中国』第35回「CCさくら」は悲恋の物語?桜と李小狼は中国では結ばれていなかった!

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※ 本記事にはネタバレを含みます。

『アニメで知る中国』第35回「CCさくら」は悲恋の物語?ラップ で語る中国のアニメ事情

2002年に上海テレビ局などで放送された「カードキャプターさくら」は、「聖闘士星矢」、「ドラゴンボール」や「エヴァンゲリオン」と共に中国で放送された数少ない日本アニメです。ですがこれらのアニメが日本から直接輸入されたわけではないようで、中国の書籍「中国電視史」(※1)でも言及されていますが、香港の翡翠テレビ局あたりから間接的に買い付けた番組に交じっていたのではないかと推測されています。

これは当時広東テレビ局などが放送時間拡大によって、放送コンテンツ不足に陥った時にとった苦肉の策だといわれています。

(※1) 中国電視史:劉習良:中国広播電視出版社; 1 (2007年2月1日)

これは当時広東テレビ局などが放送時間拡大によって、放送コンテンツ不足に陥った時にとった苦肉の策だといわれています。

日本の様に全国ネット、のような概念がないため、各局の放送期間にはばらつきがあり、その他のテレビ局では2004年の放送もありました。

テレビで放送するにあたり、中国語アフレコがされたわけですが、2種類のバージョンが中国に存在します。

一つは遼寧人民芸術劇院、もう一つは金鷹卡通バージョンです。

遼寧人民芸術劇院は通称「遼芸」と呼ばれ、多くの日本アニメのアフレコを行っていました。そのアフレコレベルは非常に高かく、中国では大体日本アニメといえば「遼芸」版でした。現在は残念ながら、日本アニメがテレビで配信できなくなってしまっているので、遼芸の出る幕もほとんどなくなってしまいましたが…。

今回は「遼芸」版のカードキャプターさくらの話になります。

カードを集める魔法少女というメインテーマの他に、CCさくらには「多様な恋愛」というもう一つのテーマがあると、ミミムは見ています。

しかし中国は保守的な社会規範「自由な恋愛を描くことができなかったのです。

以下ネタバレを含みますが、カードキャプターさくらを中国テレビで視聴すべきでない4つの理由を挙げたいと思います。

『カードキャプターさくら』を中国テレビで視聴すべきでない4つの理由

①李苺鈴(メイリン)の悲劇

メイリンはアニメ板オリジナルキャラで、さくらと李小狼の関係によりストリーリー性をもたらしたキャラクターです。初期は視聴者には嫌がられたキャラクターだと思いますが、中国人女性を比較的正確に描写していたので、個人的には親近感があるキャラでした。彼女に対して最も印象的な60話、小狼との婚約解消から知世に泣きつき、小狼に対する思いを爆発させるシーンだと思います。残念ながらこのシーン、ひいてはこの回は李苺鈴が李小狼の親戚、しかもいとこという三等親にあたるため完全にカットされたと考えられています。

中国ではメイリンが小狼をどれだけ深く思っていたかをテレビ放送当時はうかがい知ることはできませんでした。

すごく良いキャラで、ストーリーに深みをもたらしてくれたのですが、残念でなりません。

②道明寺知世の悲劇

知世はさくらをカメラで真正面から「ストーキング」するさくらの同級生の女の子です。彼女はさくらの魔法使いコスチュームの制作や携帯電話の手配、相談相手となったり、周りの人物をけしかけたりなど、まさに「様々」な面からさくらをサポートしています。

その愛は本当に深く、彼女の幸せを願ったものです。

ですが、彼女がさくらの姉妹であることを知る人は中国にはいませんでした。

彼女とさくらの母が16歳で師弟恋愛の末生んだ子だというポイントが中国でNGだったのでしょうね。その事実をにおわせる回が中国版ではカットされていたのです。

知世による、同性、親近愛という人によってはゾクゾクしてしまう愛のカタチを放送当時、中国視聴者は知ることができなかったのです。

ですが、視聴者も知世も、さくらが姉妹であるという事実をしらなかったことで、逆に愛をより深めることができたかもしれませんね。

③ミラーの悲劇

ミラーはさくらが封印したクロウカードで、封印後は自分の影武者として登場します。カードの中では唯一言語によるコミュニケーションが出来るのもあり、またミラーさくらは本人よりおしとやか、ということで多くの視聴者はその可憐さに感動したことでしょう。

ミラーがさくらの兄、桃矢と買い物しに行く回があるのですが、ココで、桃矢はミラーさくらだと見抜き、リボンを送ります。「お兄様」大好きミラーさくらは感動をするこの回は非常に「はにゃーん」でしたね。

ですが、小学生と高校生という年齢、兄妹の恋愛、等々様々な理由とメインストーリーに直接関係ないということで、中国ではこの回がカットされています。

放送当時、ミラーがこんなに素晴らしいキャラクターだということ、桃矢の「人間以外に優しい」部分を知られなかったのは、残念ですね。

ちなみに私はどちらのさくらも好きです

④李小狼の悲劇

正直、CCさくらでもっとも残念なことになったのは李小狼です。

アニメと漫画で小狼(しゃおらん)とさくらの恋愛が成就するタイミングは違います。さくらカード編最後にさくらに告白し返事を待つ小狼ですが、原作では小狼が香港に帰る際にアニメ版では小狼の帰国後の劇場版第2作終盤でめでたく結ばれますが中国語版ではそうはなりませんでした。

眠りの呪い、エリオルとの最終決戦の後、小狼が桜に告白するシーン、中国テレビ放送版ではこうなっていました。

「君はいい子だ」

さらに、テレビ版でさくらが小狼のことを好きだと独白するシーンでも

「直接会ってありがとうって言わないと」

というセリフに変更されていました。

また、さくらカード編で神回といわれている「エレベーター回」も削除されています。

エレベーターから落下するさくらを救えなかった小狼がさくらが落ちた穴に向かって、大声で彼女の名前「さくら」を始めて?叫ぶシーンです。

さくらは流石歴戦の魔法少女ですので、事なきを得たのですが、最後に小狼がさくらをギュッと抱きしめるシーンは最高でした。

ところが、この回、小学生同士が恋愛感情をもって抱き付き合うのはよくなかったのと、「カード集め」というストーリーに関係なかったのもあったのでしょう、カットされてしまいました。

なので、中国テレビ放送版ではお互いに告白するどころか、二人の感情の変化に関するシーンが少なくなっていたのです。

というのも中国では「早期恋愛禁止」という子供同士の恋愛を公共で演じたり表現したりするのを禁止しているからです。

中国の視聴者もこの展開には原作を見るまで、かなりわだかまりがあったようですね。

ちなみに、中国語版では李小狼(しゃおらん)の名前は「王小明」に変えられています。これも李小狼といちゃいちゃしている「李苺鈴」の親戚設定を変更したからですね。

何はともあれ、李小狼は中国版では一番可哀想な状態になっています。

まとめ

他にも、幽霊的な怖さがあるアニメ第二話なども中国テレビ放送時丸ごとカットされていたりしました。

このように、それぞれの国の様々な制約の為に、コンテンツが異なった形で享受されることはあります。ですが、コンテンツの元々の姿に出会ったとき、それが更なる光をまとう事は中国でのカードキャプターさくらの人気が証明していると思います。

最後に李小狼のさくらカード編のセリフで終わりたいと思います。

「日本に来てよかったおまえ…いや…さくらに会えたから」

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では、本日の動画ここまでです。

アニメで知る中国、ナビゲーターミミムがお送りしました。

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北京動卡動優文化傳媒有限公司有限会社(北京MYC)とは

2010年に設立されたアニメ・ゲーム専門の広告代理店の北京動卡動優文化傳媒有限公司有限会社(北京MYC)。中国のアニメ市場の消費力データを有し、アニメ・コミック・ゲーム(ACG)の分野で、中国市場を狙う企画から販売促進まで一連のサービスをワンストップで提供。2016年に日本支社(株)MYC Japanも設立。