TVアニメ『進撃の巨人』The Final Season|ファイナルへの道筋について

2020年12月より待望のTVアニメ『進撃の巨人』The Final Seasonの放送が開始した。ファイナルシーズンと呼ぶのに相応しいこれまでにないスケールで物語が進む本作について考えていく。
※以下のコラムにはネタバレが含まれます。読み続ける場合はご注意下さい。

TVアニメ『進撃の巨人』The Final Season|ファイナルへの道筋|考察

©諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会

「人類が壁の外にいないってどうやって調べたんですか?」調査兵団・団長エルヴィン・スミスが教師である父親にした質問だ。エルヴィンの目的は「この世の真実」を明らかにし、その場に立ち会うことだった。彼は夢半ばで命を落とすが、その夢を引き継ぐ形でエレンやミカサ、アルミン、リヴァイ、そしてハンジ等調査兵団は海へとたどり着き、海の向こう側に世界が広がっている事を知る。

100年余の平穏が続いたある日、突如現れた超大型巨人によって、シガンシナ区の壁は破壊され街は壊滅状態に陥った…。第1話「二千年後の君へ」の冒頭のあまりに強烈なシーンで世界に衝撃を与えた本作。そして、ファイナルシーズンによって世界に再び激震が走る。

マーレとエルディア人

ファイナルシーズンの第1話(第60話)「海の向こう側」で最初に登場するのは、倒れたまま空を見上げ、鳥に話しかけるエルディア人の少年・コルト・グライスの姿だ。

戦士候補生と呼ばれる彼らは、軍事的な訓練を受けており、言わば巨人候補生という身分だ。マーレは、かつての帝国エルディアとの「巨人対戦」の末、エルディアに勝利し、9つの巨人の力を奪い大陸を制覇し大国となった。その後、植民地政策を進め、エルディア人を「レベリオ収容区」に住まわせ、自由を剥奪した。この世界にも人権保護団体は存在するが、エルディア人については巨人に変身する能力を持つ種族として世界からも憎まれ、恐れられていた。

エレンたちもまたエルディア人だが、その事を知る由もない。なぜ巨人が自分たちを襲いに来るのか、自分たち以外に人は存在しないのか?全てが謎のまま物語が進行し、シーズン3でようやくその濃い霧が晴れるのだった。

このエレンから見た自由への渇望の物語を表側の真実するなら、ファイナルシーズンはもう一人の主人公ライナー・ブラウンを語り部とした裏側の真実だ。“壁”を境に起きた二つの真実についてライナーの口から明かされるその過程で起きた様々な出来事は私たちの想像力をかきたてる。

ライナーに関する二つの事実

©諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会

ライナーに関する事実は二つある。一つ目はベルトルト、アニと共謀し、壁の中に巨人を率いて多くの犠牲者を出したあの事件の首謀者であるという事実。もう一つは調査兵団の団員としてエレンたちと共に戦い、死線をくぐり抜けてきた仲間であるという事実。この矛盾する二つの事実について語られ、そして、エレンとライナーはファイナルシーズンで再びあいまみえることになる。

成長し続けるキャラクターたち

©諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会

シーズン3まではエレンを中心にミカサやリヴァイ達調査兵団をヒーローとして描いているように見える反面、ファイナルシーズンでは地に足がついた歴史ドラマのような展開を見せる。一つの特徴として、これまで活躍してきた登場人物が大人に成長している点だ。エレンの声を演じている声優の梶裕貴さんは、原作・第98話「良かったな」のエレンの台詞「…よう 4年振りだな ライナー」について、Twitterで「もともとの想定とは違う」と語っている事から、エレン自身が変化したため役の演じ方にも違いが生じたと考える。

まとめ〜ファイナルへの道筋

最後にファイナルシーズンで立体起動装置は、これまでにない性能、規模で大活躍するし、獣の巨人や鎧の巨人の他、初めて登場する戦槌の巨人などシリーズ中最も多くの巨人が入り混じる。歴史ドラマとは例えたがこの作品はこれまで以上にヒーローが自由の為に戦う「進撃の巨人」である。何もかもがパワーアップし、舞台も広がる。そして複雑に絡み合い、混迷を極める人間関係がこの後どう変化していくのか?そして、エレンの決断とは?どうか最後までこの物語の行末を見届けて欲しい。

TVアニメ「進撃の巨人」The Final Season 作品情報

放送情報

TVアニメ「進撃の巨人」The Final Season
NHK総合にて12月6日(日)24時10分より放送
※放送日時は変更になる場合がございます

配信情報

dTV 12月7日(月)12:00(正午)より配信開
dアニメストア 12月7日(月)12:00(正午)より配信開始
GYAO! 12月7日(月)12:00(正午)より配信開始
Netflix 12月7日(月)より配信開始
TELASA 12月7日(月)12:00(正午)より配信開始
ひかりTV 12月7日(月)12:00(正午)より配信開始
U-NEXT 12月7日(月)12:00(正午)より配信開始
Amazon Prime Video 12月7日(月)12:00(正午)より配信開始

イントロダクション

「その巨人はいついかなる時代においても、自由を求めて進み続けた。

自由のために戦った。名は――進撃の巨人」

ついに明かされた壁の外の真実と、巨人の正体。

ここに至るまで、人類はあまりにも大きすぎる犠牲を払っていた。

それでもなお、彼らは進み続けなければならない。

壁の外にある海を、自由の象徴を、まだその目で見ていないのだから。

――やがて時は流れ、一度目の「超大型巨人」襲来から6年。

調査兵団はウォール・マリア外への壁外調査を敢行する。

「壁の向こうには海があって、海の向こうには自由がある。ずっとそう信じてた……」

壁の中の人類が、初めて辿り着いた海。

果てしなく広がる水平線の先にあるのは自由か、それとも……?

エレン・イェーガーの物語は、新たな局面を迎える。

スタッフ

原作 諫山 創(別冊少年マガジン連載/講談社)
監督:林祐一郎
シリーズ構成:瀬古浩司
キャラクターデザイン:岸 友洋
総作画監督:新沼大祐
演出チーフ:宍戸淳
エフェクト作画監督:酒井智史 古俣太一
色彩設計:末永絢子
美術監督:小倉一男
画面設計:淡輪雄介
3DCG監督:上薗隆浩
撮影監督:浅川茂輝
編集:吉武将人
音響監督:三間雅文
音楽:澤野弘之/KOHTA YAMAMOTO
音響効果:山谷尚人(サウンドボックス)
音響制作:テクノサウンド
アニメーションプロデューサー:松永理人
制作:MAPPA

キャスト

エレン・イェーガー:梶 裕貴
ミカサ・アッカーマン:石川由依
アルミン・アルレルト:井上麻里奈
コニー・スプリンガー:下野 紘
サシャ・ブラウス:小林ゆう 
ヒストリア・レイス:三上枝織
ジャン・キルシュタイン:谷山紀章
ライナー・ブラウン:細谷佳正
ハンジ・ゾエ:朴 璐美
リヴァイ:神谷浩史
ジーク:子安武人
ファルコ・グライス:花江夏樹
ガビ・ブラウン:佐倉綾音
ピーク:沼倉愛美
ポルコ・ガリアード:増田俊樹
ウド:村瀬歩
ゾフィア:川島悠美
コルト・グライス:松風雅也

The Final Season公式サイト:https://shingeki.tv/final/
公式Twitter:@anime_shingeki

©諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会