『アニメで知る中国』第44回「お家で見たいヤバイ中国アニメ2」

ナビゲーターのミミムです。以前 お家で見たいヤバイ中国アニメ①っての、をやらせて頂きましたが、本日は第二弾として4つの作品をご紹介していきます。

今回は中国の2Dアニメで特にクオリティーが高いモノを4つ紹介したいと思います。タイトル画からもうわかってくれてる方もいるかもしれませんけど、1本目行ってみましょう!

『アニメで知る中国』第44回「うちやばアニメ2」

雛蜂 BEE

2010年ネット漫画サイト「有妖気」で連載開始
作家:孫恒(白猫sunny)
アニメ:2015年 全6話(日本版はYoutube全5話)
制作:上海絵夢

SFバトルものですね。絵夢と言えば、皆さんご存知ビリビリが日本のアニメ制作会社を買収して作ったアニメーション会社ですね。2015年前後では活発に活動していましたが、最近はあまり聞きませんね。

あらすじは2017年、新たな軍拡競争が始まり、人体を改造することによって強大な力を得た新たな兵士「尖兵」が各国に広く採用された。 尖兵の少女・瑠璃は数年に及ぶ軍隊勤務で体に限界がおとずれ死が迫っていた。「兵器」として廃棄そうになっていた彼女に、突然ある任務が言い渡された。それはテロに巻き込まれたある人質「エデンの子」を救うことだった。彼女の命は残り380日……そして世界中を戦争に巻き込むという「エデンの子」とはいったい……。

動画のクオリティは結構なもので、中国原作アニメとしては一時期話題になりましたね。秋葉原のComic Zin上の屋外広告出してましたし、見たことある人も多いのではないでしょうか。

作品の方向性など、ミミムは結構好きなんですけど、アニメは6話で終わってしまったので残念です。ですが、2015年の2D作品としてはひときわレベルが高いので是非皆さんに知ってほしいなと思ってます。現在Youtubeの「有妖気」公式チャンネルで配信されていますので、見てみてください。

非人哉(ひにんや)

2016年からテンセント漫画、ネットイース漫画等で連載
作家:一汪空気
アニメ:2018年 48話
再生数:3.2億回
制作:好伝動画
参考URL:https://www.bilibili.com/bangumi/media/md13372924/?spm_id_from=666.25.b_6d656469615f6d6f64756c65.1

妖怪の日常系アニメですね。あらすじは主人公の九月は九尾の狐で現代社会では人間と同様に生活し労働し、賃金を得ているオタク気質の少女。常にスマホで写真を撮ってSNSに投稿していて、彼氏募集中の彼女と周りにいる他の人間社会に溶け込んでいる妖怪との交流を描いています。

公式のあらすじだとすごくふわっとしていて、中国建国後、妖怪は人間型になれない…。じゃ現代の妖怪はどうすれば?人間社会に溶け込むしかない。古代の妖怪から200歳の若い妖怪まで、漫画でその生活を見てみよう!という感じで紹介されていますが、「建国後妖怪は人型になれない」というのは日本人には少し理解しにくいと思いますので解説してみます。

妖怪の存在意義は「人間になること」です。これは中国における妖怪の基本的な設定です。西遊記を見たことがある人ならわかると思いますが、妖怪は修行を積み、能力が高くなればなるほど、人間に近い見た目に化けることができます。

スレイヤーズというライトノベル作品が昔富士見文庫から出版されていましたけど、その中で、能力の高い魔族ほど美男美女に変身できる、に近い感じですね。

或いは「早く人間になりたい」の妖怪人間ベム、もそうですね。

なので「妖怪は妖怪として永続的に存在するのではなく、人間になるために修行をする」というのが基本です。修行する、は人間の精気を吸う、殺す、大気に漂う霊気を得る、同族を食す、同化するなど様々な方法があって、基本的に「気」にまつわるモノです。十分な「気」を得たら、最終的に妖怪は人間になるわけですが、これを中国では「成精」精になると言います。

人間化する、精になった妖怪としては例えば封神演義の「妲己」とかが有名ですね。このイラスト見ると、懐かしすぎて涙が出そうですけど…

日本の妖怪モノですと畠中恵先生のしゃばけをはじめとする妖怪小説がありますが、その中でも何年も放置された道具等が精になっています。これも一つの「修行の成果」ですね。

畠中先生の作品では妖怪は妖怪のままですけど、中国では妖怪は「人間になるのが目的」だと覚えてください。

で、新中国設立後、妖怪は人間になれない、というのは迷信を排除したい中国政府のコンテンツ審査の中の不文律として「妖怪は人間になれない」というのがある、という話から来ています。実際そこまで厳格ではありませんが、「妖怪が最終的に修行を経て人間になる」をメインテーマにした作品がなかなかないのはそのせいだといわれています。

ゲームなどでは規制されていますね。

ということで、この非人哉、日本では「ひとにあらざるかな」と呼ばれているようですけど、は妖怪が日常世界に溶け込んだら、という話です。

アニメも非常に面白い演出方法を使っているので是非Youtubeなどで見てくださいね。

大理寺日誌

2015年ネット漫画サイト「有妖気」等で連載開始
作家:RC
アニメ:2020年 全12話
再生数:1.2億回
制作:好伝動画
参考URL:https://www.bilibili.com/bangumi/media/md13372924/?spm_id_from=666.25.b_6d656469615f6d6f64756c65.1

時代劇ものですが、主人公が「李餅」は…化け猫です。とはいっても、どうやら「薬」を継続して飲まないと化け猫になってしまうようで、作中でも薬を飲み損ねて猫の姿に戻ってしまい、大変なことになっています。

あらすじは唐の奉行所と言える「大理寺」で全国の様々な事件を解決する奉行「李餅」(りへい)が田舎から士官してきた陳、胡からきた「アリババ」等と共に難解な事件に挑戦する。という話です。水戸黄門形式ですね。李餅は武術の達人ですので、どんどん解決できそうですが、話はそうもいかないようで。

李餅は化け猫で、薬を飲まないと理性を失ってしまいます。この理性を失ってしまい猫に戻ってしまう事を「原型に戻る」と中国では言います。原型に戻るは中国の妖怪論では基本的な知識で、「修行して集めた気を何かしらの理由で失う」と数百、数千年修行して得た人の体を失ってしまうのです。

大理寺日誌では原型に戻ってしまったことによって大理寺に大損害を引き起こしてしまった李餅の話もあり、彼はその件についてかなり悩んでいることが伺えます。

アクションが素晴らしく、2020年の新作アニメとして非常に期待がかかる作品ですね。

現在一旦第一期の配信が終わりましたが、今後の続編に期待したいです。

羅小黒戦記

この作品を知ってる人は多そうですね。2011年に羅小黒が誕生その後Flashアニメ化

作家:MTJJ
アニメ:2011年 28話未完
再生数:2.3億回
制作:北京寒木春華動画技術有限公司
参考URL:https://www.bilibili.com/bangumi/media/md1733/?from=search&seid=8767878478818053115

未完の大作、妖怪現代劇「羅小黒戦記」です。あらすじは猫の妖怪「小黒」が「老君」から「天明珠」を盗むも原型に戻され、街を放浪していたところ、町に住む女の子「小白」に拾われる。「小白」と「小黒」は様々な妖怪と仙人のトラブルに巻き込まれていくが…?

ということで、先ほどの非人哉、大理寺日誌の紹介を聞いていただいた皆さんなら、「原型に戻される」という意味は分かってもらえるでしょう。そう「小黒」も長年修行をして人型になった「精」であり、老君の術によって「原型」に戻されてしまっている妖怪、なんですね。

この老君という存在が重要なんですが、彼は仙人です。

中国の妖怪モノでは必ず、「妖怪」「人間」「仙人」がセットで出てきます。これは日本の作品とは違いますね。日本だと大体「妖怪vs人間」、例えば「化物語」等はそういう対立構造です。ですが、中国の場合は「三者対立構造」になることが多いようです。

とはいえ、この羅小黒戦記では「対立」ではなく「三者共存構造」ですが。

この作品は2011年からFlashアニメ化して以来、9年で28話とまるで涼宮ハルヒ並みの歩みの遅さです。人気も中国では涼宮ハルヒといえるんですが、とりあえず遅い。去年でた「羅小黒戦記劇場版」は「哪吒」に押されてしまいましたが、3.11億元(48億円)とかなりの大健闘をしました。

11月7日に日本でも日本語版が上映されるということで、まだ見てない人はまずYouTubeで羅小黒戦記シリーズを見て、ぜひ日本語版の劇場版を見てほしいですね。

本日はミミムがお勧めする中国アニメ4本を紹介しましたが、如何だったでしょうか?今回は2Dアニメで妖怪モノの基礎知識を交えて紹介しましたが、3Dアニメにも沢山面白いものがあります。また折を見て紹介したいですね。

では、アニメで知る中国、本日はここまでです。「お家で見たいヤバイ中国アニメ2」ナビゲーターのミミムがお送りしました。

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北京動卡動優文化傳媒有限公司有限会社(北京MYC)とは

2010年に設立されたアニメ・ゲーム専門の広告代理店の北京動卡動優文化傳媒有限公司有限会社(北京MYC)。中国のアニメ市場の消費力データを有し、アニメ・コミック・ゲーム(ACG)の分野で、中国市場を狙う企画から販売促進まで一連のサービスをワンストップで提供。2016年に日本支社(株)MYC Japanも設立。